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ウルトラミラクルラブストーリー('09)横浜聡子

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終始引き込まれました。青森の海岸地域に立つバラックのようなi埃かぶったような家や、それをとりまく世界がそんなに大好きというわけではないのですが、画面の動き、例えばやや白痴な青年が空を見上げたあとシーツをかぶって走り回った後、踏み切りを越えて麻生久美子登場、そして乱雑に飛ぶヘリ。その音と散布する農薬の不吉さ。このオープニングの期待感がすごい。

その麻生久美子、芯の強い女性として登場かと思いきや、全然違うことはイタコもどきとのやりとりで判明する。トラックに、イタコもどきの伯母さんに、幼稚園児に、青年にと、ふりまわされるのであった。しかしなんにしろ地元の人との挨拶とか、ふとした場面で素を撮ったようなシーンは、できれば切り出して壁にかけて飾りたい。

この映画、ありきたりな心理描写に陥りそうなとき、何かこれみよがしなものに視線が集まりそうなとき、常にその展開を周到に避けようとして、時にそのために子供が乱入してきたりしている気がする。特に幼稚園児たちのかき回してつくる場面、画面を「うにうに」と子供が動く中を役者が演技する感じがよかった。

少女二人による方言がきつくてほとんど聞き取れない漫才もいい。あそこはなんか、タケシの映画っぽかった。カナメが登場する道もいいなあ。そういえば、横浜監督の『ジャーマン+雨』はもちろん、井口奈己の『人のセックスを笑うな』を思い出した。畑だらけってことで。