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There Will Be Blood ('07) ポール・トーマス・アンダーソン

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"I'm finished !"(Daniel Day-Lewis)

シネマスコープ。1898年から1927年まで、ダニエル・デイ・ルイス演じる男ダニエルが、一介の銀採掘の工夫から石油王にのぼりつめ、(予想に反せず)破滅するまでの話。つまり、ちょっとした大河ドラマなんだけど、あまりそういう映画を見た気分にはならない。まったくならないのではなく、あんまりならない、というところがポイント。

パイプライン、ミルクシェイク、とかいう言葉で、部分的にやたらなこだわりが見えて、全体的に感動させようとはしていないな、というつくり。とはいえ、腑に落ちないとかいう話ではなく、見終わった後から、腑にはおちまくる。ところで、石油を掘る現場のシーンはかなりすごい。石油の油田のそばの事務所も、西部劇っぽくてなかなかいい。

唯一の味方としてそばにいた息子H.W. との、やがて確執を生む関係・・これもかなり重要で、孤独なダニエルの人生を考えれば多分一番重要なテーマなのに、そしてそういう2人の場面もかなり多いのに、それで感動とかはさせない。なんかダニエル、そこにひっかかってんだろうなー、くらいの描き方である。

それもこれも、イーライという「偽宣教師」とダニエルが、最後の最後で決定的に「対決」するのがすごすぎるからで(イーライ、15年くらいたってる割に若すぎじゃないか?)、その決定的な場面での執拗な攻撃。そこで出るのが名文句の"I drink your milkshake!!" 。そしてなぜそこまでに?というおいつめっぷり。息子を失ったから?

あの主人公、ダニエル・デイ・ルイスはジョン・ヒューストンをイメージして演じたとか。