アイム・ノット・ゼア('07)トッド・ヘインズ
写真の6人の俳優が、それぞれボブ・ディランを演じる。いや、正確には、ボブ・ディランのパロディ人物とボブ・ディランにインスパイアされてつくられたキャラクターを、演じる。一番似せているのは、ケイト・ブランシェットで、唯一女が演じているのも彼女。これはかなりはっきりとボブ・ディランを演じているんだけど、かなり似てる。でも、まあまあ。リチャード・ギアも微妙。ギアはへんな空気まとってるからなあ。黒人の坊やのエピソードは、かなり良い。この話が膨らまない悲しさみたいのはある。
トッド・ヘインズはエデンより彼方にでもそうだった(らしい。見たときは知らなかった。)んだけど、見る側にかなりの知識を要求するひとみたいで、この映画はかなりディランを知っていないと、楽しめないんじゃないか。かく言う俺のレベルは、サイドストーリーは大体わかるけど、歌詞の意味までは良く知らない、というかんじ。エデンより彼方にはアメリカ社会の、黒人と白人の乖離っぷりを哀しく描いていたけど、その雰囲気が黒人の坊やのエピソードには出ていた。50年代のボブ・ディラン。60年代のボブ・ディランとはまた違い、魅力的である。
ところで、ディランって、牧師やってたことあるの(「セイヴド」とか出していたころか?)?ビリー・ザ・キッドってどんな話だっけ?他には、そもそも知らないが故にひっかからずに忘れたシーンもありそう。で、総括すると、いろいろ楽しめるところもあるので、否定的なことはあえていわない。シャルロット・ゲンズブルの母親役はよかったなあ。若い頃のシーンはちょっときつかったけど。