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さよなら、さよならハリウッド('02)ウディ・アレン

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「ウディ・アレンの作品は『スリーパーズ』以外全部見てます。」と言うために見た。
これくらい多作な映画作家をそれくらい追ってくると、またそれか、ってシーンが気になって、不幸にもなんの新しい発見もなく映画を見終えてしまうことがある。この2002年製作の作品でも、登場人物が皆ウディ・アレンのような演技をする、というアレン評価では恐ろしく紋切り型の印象を口にすることさえもうんざりするぐらい、既視感にさいなまれる。なにはともあれ是非にとお勧めする作品ではありません。

目が見えないことにまつわるギャグとかは、笑えない。最後の数分の展開でどんでん返しのハッピー・エンドを迎える、「ハリウッドっぽいエンディング」とかのうまさは、その後アレンがニューヨークを去ったことを思えばこそそれなりに感慨深いけど。『僕のニューヨークライフ』('03)もアメリカを後にするシーンで終わっていたが、ニュー・ヨークを去る前に二つもそれに関する映画をとっていたアレンの撮影現場とか、アメリカで映画をとり続けることへの嫌気はよく伝わった。

アレンの作品は日本での上映が遅れる傾向にあるのでわかりづらいけれど、この作品も含めてアレンはコンスタントに映画を撮り続けていて、新しさがあるかどうかというよりも、ここから『僕のニューヨークライフ』('03)、『メリンダとメリンダ』('04)、『マッチ・ポイント』('05)と続く作品群の流れがようやくわかった気がする。