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ゾンビ('78)ジョージ・ロメロ

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哀しい映画でした。

監督のジョージ・ロメロの名前は知っていた。この映画は、'60年代のナイト・オブ・ザ・リビング・デッドから撮られているゾンビシリーズ第2作(原題はDawn of the dead)にして名作の誉れ高い作品。

テレビ局の女が仕事中にうなされて起きる素敵なシーンからはじまるオープニングと、その後の数分間の文字通りの混沌は、いきなり、すでにゾンビが増殖しはじめていて、世の中の人もその事実を認識できているという設定で始まる。おそらく低予算映画なんだろうけど、「世界中の混乱」というものをテレビ局という限定的な場所の中だけで表現してて、これはかなり効果がある。

ゾンビ自体は強くないのでそんなに怖くはない。ただ、やつらがいて油断ができない生活、さらにはその数が増殖する一方で、どう考えても未来は絶望的、という設定がいかにも怖い。だからゾンビが襲ってくるシーンよりも、主人公たちがそんな特殊な状況の中で身を守る環境を整えて、つかの間の「平穏な」ひと時を過ごしている時間帯が妙に怖くて、哀しい。

主人公たちが平穏を求めて逃げ込む先が、ショッピング・モール。ショッピング・モールも'78年当時はまだ今ほどは多くなかったと思うし、今から見るとかなり寂しい感じなんだけど、でも中身は通俗的な店舗なので、今見ると時代を感じさせてくれてなかなかよかった(そういえばゾンビのメイクなどにかなり手作り感のある映画だったな・・)。

ヘリコプターでこのショッピング・モールをみつけて潜り込んで、ゾンビから逃れる基地にしてゆくんだけど、ショッピング・モールに忍び込むときの異様に楽しそうな、おかしなテンションが、当時のアメリカ人の心情を代表するものなのかどうかは不明。ただ、死人が生き返っているはずのゾンビが、なぜショッピング・モールに集まるのか、という説明としては、「生きている時代の習慣でなんとなく来てしまう」とされていた。うーん。その気持ちはよくわかる!

こんなページもありました: http://www.grfilmsinc.com/dod.html