『HELPLESS』 『EUREKA ユリイカ』 青山真治
早稲田松竹で2本立て。激しい二日酔いからなんとか復帰して長丁場に望む。
今「わかっている」のかどうかは別として、『HELPLESS』は映画の見方がまったくわかってなかった頃に見て退屈だった覚えしかないんだけど・・こんなに面白かったっけ??
ていうか何でこれが退屈だったんだろう。
明彦はここから登場してたのか・・など、『サッド・ヴァケイション』『ユリイカ』とのリンクも楽しむ。
23歳の浅野忠信がまぶしい。
『ユリイカ』は大画面で見るの初めてだ。いやー撮影が本当に素晴らしい。
冒頭のバスジャックのシーンからゾクゾクしまくる。
なんだこの編集。見せる順番の狂い方が完璧。
この犯人の演技!
youtubeで見つけた。また見ちゃったよ。すげーすげー。これ見たら絶対見たくなるでしょ普通。
やはり青山映画の中で、すべてがここまでうまく行ってるものは無いのではないか。
伏線の貼られ方の完璧さ。(直樹が定食屋で吐くシーン最強)
国生さゆりが別れ際歩きながら泣き顔になるが、そこにピン合わせない!!最強!!
などなど、217分はさすがに長かったが、すべてのシーンが必要であることを再確認。
ゆっくりゆっくり進んでいく物語だけど、あの間がないと物語が生きないのだ。
カンヌで絶賛された宮崎あおいはこの時11歳。
実兄の宮崎将は妹ほどブレイクはしていないがしっかり俳優の仕事をしているようだ。
よく頭の回るいかにも現代の若者の常識人、秋彦が「俗」で、無口で不器用な沢井が「聖」なるもののように描かれるわけだが、正直、沢井のような人間が実際に近くに居たらうっとうしいと思う。
ずーっと黙ってて、いきなり家出するとか、いきなりバスから追い出して殴るとか。
「会話」を超えるコミュニケーションは無いと思っているし、自分の考えが他人に伝わらない時に、わかってもらおうと努力しないのは傲慢だ。・・と映画の中で秋彦が言ったようなこと(「あんた相当ナルシストだよ?」)を現実だったらそのまま思うんだろうな。
もちろん映画の中での沢井の美しさは感動的なのだが、実際のところ、自分は残念ながらずっと秋彦に近い人間であるんだろうことを確認した。
青山真治といえば、これも本人のブログで知ってすぐ買いました。最高です。
たむら まさき; 青山 真治/酔眼のまち-ゴールデン街 1968~98年 (朝日新書 79) (朝日新書)(朝日新聞社)