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ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ローラ』『マルタ』『マリア・ブラウンの結婚』

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この師走にライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの作品を立て続けに見た。『ローラ』('81)『マルタ』('74)『マリア・ブラウンの結婚』('79)の三本を、この順番で見た。

ファスビンダーは今まで見たことがなかったが、僕の接する情報では、70年代のドイツ映画はヴェンダース以外は霞がかったような位置付けにあったのが理由だろう。

ある作家のレトロスペクティヴを初めて見ると反射的にやってしまう、他の作家と似ている点の指摘という愚行をここでやってしまうなら、まずはブニュェル、そして、神代辰巳のことが頭をよぎった(後者は確信が無い。単に同時代性ということかもしれない)。

とはいえファスビンダー自身、アクの強い個性を持ってるのだけど、それについては一目瞭然なのでやめておく。ただ、今回見た三本に共通するのは、魅力ある主人公達が執拗にその名前を呼びかけられ続けることである。登場人物たちはまるで、ローラ、マルタ、マリア、という三者三様の個性を持った彼女らの名を呼びかけているうちに、だんだんと彼女らに惹きつけられ、依存度を増してゆくかのようであった。