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溝口健二の「楊貴妃」と「祇園囃子」を見る

マノエル・デ・オリヴェイラは、溝口作品について、印象に残っているものは「楊貴妃」といっていたが、慧眼である。これはオリヴェイラが言っているから正解、というような断言である。それくらい、「楊貴妃」はつまらない。ちょうどいっしょにDVDで「祇園囃子」をみたけれど、こっちは隅々まで最高の映画で、そこで画面にみなぎっていた躍動感は「楊貴妃」ではすっかり陰を潜めている。かつて、晩年の溝口作品で助監督をしていた増村保造が指摘していたとおり、中国の宮廷なんていう場所が溝口にとってあまりにアウエーだったから、というのがその理由なのだろう。新平家物語同様、カラーもよくないと思います。