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ブロークン・フラワーズ('04)ジム・ジャームッシュ

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ジャームッシュのこれ、見逃していたんだけど、なるほど去年の「アレ」は、コレがさらに進化した映画だったのね。

ビル・マーレイにある日、ピンクの手紙が届いて、それが発端となって昔の女たちに会いにゆく。彼が住む家のカウチとかインテリアの感じと、彼の隣に住む子沢山の男(ジェフリー・ライト)の家の感じの対比に、まずやられた。マーレイが旅に出る前の比較的長めのイントロだけど、この部分はかなり良い。

「タイプライター探しの旅」に出たあと、それぞれの女たちについては、豪華なラインナップだなあ、というくらいでそんなに感想はない。ちなみに一人目がシャロン・ストーン(写真参照)。ただ、最後の「ミシェル・ペペ」の墓石の横でマーレイがうなだれるシーンは、つくづくよかった。あとはジェシカ・ラングの秘書役のクロエ・セヴィニー、最高。エロい。

女たちとの関係でいうと、映画批評家のクリス藤原氏が一人一人との距離感がどんどん離れて生きつつ、一方でマーレイの心情としては相手に近づいていくというような指摘があった。そして、旅の途中に見えるぼやけた(文字通りピンぽけの)アメリカのランドスケープ(日本語で言うところの「風景」)と、2000年代におけるロードムービー性、ですかね。

「リミット・オブ・コントロール」でさらに顕著になる、同じパターンを何度も繰り返してゆくスタイルは、ジャームッシュはうまい。そこらへんはタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」よりもぜんぜん上。