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お引越し('93)相米慎二

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相米慎二の93年の作品。彼は、子供を撮ることが多かったそうだ。「家庭」とか「子供」とか「離婚」とか、このテーマで面白いかなーとはおもったけど、相米監督の映画はそんなに見ていないので、ちょっと見てみようと見てみると、少女が家を「引越し」てゆく父親(中井貴一)に会いに走りだすあたりから、ひきこまれまくり。

この映画の主役は12才くらいの女の子(田畑智子。写真参照。この人、今も見るよね。目で気づいた)。この子がその友達との間で繰り広げるやりとりが妙によい。

母親役は桜田淳子で、この女は怖い。両親が別れてしまう現実を受け止められない少女が、それをなんとかしようと文字通り奔走するんだけど、最終的に夫婦の間が修復不能であることを、桜田淳子に思い知らされます。

この「お引越し」をふくめて相米作品を横断的に取り上げている映画批評を見つけたが、これがするどい。

この批評は、相米監督が亡くなった当時のもので、本当のことを言うと前にも読んでいたんだけど、彼の夭折について語った前半よりも、後半の部分の映画分析がよかったことにようやく気づいた。

「相米にあってのキャメラは、不器用さの印象をもいとわずに、逡巡するかとみればいきなり思い切りの良さを発揮する少年少女の予測できない振る舞いに根気よく寄り添うように動く。」

エンドロールの不思議な光景も、子供がいる仕事現場を彷彿とさせて泣ける。