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HHH ('97)オリヴィエ・アサイヤス

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オリヴィエ・アサイヤスといえば『イルマ・ヴェップ』の監督でマギー・チャンの元旦那だが、とっくに「元」になっていたのは今知ったというくらいしか興味がなかった。いま東京で特集やっています。

この作品は、フランスの伝統のあるテレビ番組『現代の映画作家』用に作られたドキュメンタリー。(前にYouTubeに北野武のやつがあがってたやつのシリーズで、あっちはジャン・ピエール・リモザン監督)。

で、今回のHHHとはホウ・シャオ・シェンのことなんですが、ほとんど彼の独壇場です。時代はちょうど『憂鬱な楽園(南国再見、南国)』を撮った後らへんで、一緒に電車に乗ったり、駅の近くで昼飯食べたりして、90年代までのホウ・シャオ・シェン映画そのもの。ホウ・シャオ・シェン、最後はカラオケ・ボックスで全力で「乾杯」を歌います。いっしょにカラオケやってるガオ・ジェもまだ若者の顔をしています。さすがに迫力あるけど。

ホウ・シャオ・シェンに迫力があるかというと、かなり普通のオッサンです。特に幼馴染と道で話しているところとか、溶け込みすぎなのですが、良く見るとかなり強気で、まったく迷いはありません。そんな彼を見ているとホウ・シャオ・シェン最強説に信憑性が出ます。

50歳を過ぎた監督は、まとめにはいらず新人の頃のように映画を撮るべきだ、と語る彼がその後『フラワーズ・オブ・シャンハイ』『ミレニアム・マンボ』『百年恋歌』という傑作を出していったことを思うと、感慨深いです。