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理想的な映画の書籍をみつけた。 "Defining Moments in Movies"

洋書のご紹介。

カバーが『羊たちの沈黙』であることにひるまず、是非手にとってもらいたい。映画創世記から2007年までの1000におよぶ映画の断片が、クロノロジカルに記載されている。




編集が面白くて、たとえば「鍵となるシーン」や「記念すべき出来事」や「ポイントとなる映画」みたいなテーマで映画が断片的に選ばれている。この手の本にありがちな、網羅的に記録しようとして平凡になる傾向がほとんどなくて、とにかく面白い視点を、という意図がかんじられる。

それゆえランダムな選択なんだけど、年代別になっているので混乱はしない。恐らくかなり優秀な映画批評家たちに支えられていることだろう。執筆は多くのライターで分担しているので、そのことを思うと、ペーパーバック版が2千円台ってのは、かなりお安いのでは。

内容ですが、1980年代の「記念すべき出来事」として「1983年・蓮実重彦による『監督小津安二郎』の出版」があったりする。ほとんどは「鍵となるシーン」なんだけど、2001年に「『ミレニアム・マンボ』:鍵となるシーンはオープニングの回想シーン(スー・チーが屋根のある通路を歩くやつ)」があったことには感動した。こういうのはうれしいなあ。あー、このシーンのことこのブログの第一回目で書いてたわ。

あとは、ほどよく知らない映画が入っていて、しかもなぜ鍵となるかっていう理由もちゃんと書いてあるので、役立つことこの上なし。この本、俺がこのブログでやりたいことの理想を実現しているんだなあ・・・。

全部英語だけど、ひとつのトピックごとの文字数は少ないので、写真を楽しみながらパラパラ見ていけばだれでも拾い読みできるだろう(なにしろ分厚いので、何語であっても、パラパラとしか読めない種類の本ではある)。