木と市長と文化会館 - または七つの偶然('93)エリック・ロメール
ロメールは、映画を何だと思っているのか。
いや、これは決してふざけた映画ではない。かなりまじめに「木と市長と文化会館」を、文字通りにそれらをめぐる話である。
登場人物は市長(笑)、その娘、そして恋人。また、村の住民である教師とその娘、市長をインタビューする政治雑誌の女性編集者とその編集長、などで、彼らはひたすら政治談義(環境・文化・伝統・右翼・左翼・・)をしつづける。そんな断片でできている(ように見える)。
問題は、何でこんな映画が面白いのか。見終わってもとくに判明するわけではない。誤解して欲しくないのだが、面白くないのではなく、異常に楽しめる映画である。なんで自分がこの映画を面白いと思っているかがよくわからないまま、面白い。体調が、よかったからか?
それにしても後半、市長の娘と教師の娘が出会うシーンは、映画史に残る邂逅といいたい。
・・大げさに言い切ってしまわないと、つかみどころなさすぎてうっかりすり抜けそうな映画だからそう言っておく。