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我が至上の愛~アストレとセラドン~('06)エリック・ロメール

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日曜の夜にこんな映画を見に集まった見知らぬ面々をうしろから眺めながら,この映画を見るにあたって決意した2つのことの一つ目は,ファーストシーンとラストシーンをできるだけ鮮明に記憶することで,二つ目はこの映画がロメールの遺作になるかもしれないという事実を頭から排除し,さらにはこれがロメールの作品だということさえも排除して,極めて退屈な恋愛映画をしょうがなく見ていると思い込んで見ようということだったのだが,2時間近い尺にくらべて恐ろしくシンプルなストーリーにもかかわらず,引き込まれてしまってあっという間の楽しい時間を過ごすはめになった.

だが,巧妙にも,引き込まれてしまうことはあらかじめ想定していたので,実はどこから引き込まれたのかを覚えておこうという第三の策略も用意していたことで事なきを得た.引き込まれたポイントはセラドンの登場シーン,祭りで踊る場面だったと思う.つまり映画がはじまってすぐだったと思う.別にこのシーンで感動したわけではなく,ただ,引き込まれ始めたなあという意識があるだけで,その後ベッドのシーンとか(写真参照),風が吹いたりしてみるシーンとか,なんだかよくわからないままに進むお話とか,セラドン!とかいうアストレの声とか,けっこうわけもわからず感動していた.