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ロメールを見続ける

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『愛の昼下がり』('72)

初期のロメールに(72年のこの作品をロメールの「初期」といって言いかは疑問だが),傑作があったら教えて欲しい.どうもロメールは80年代以降が面白い印象が拭えない.家庭を持ってようやく落ち着いた年頃の中年男が若い女(写真参照.若いか?ミスキャストだろこれ.)に手を出して悶々と悩むこのお話,作風も主人公が独白したりして,全くロメールっぽくない.ただ,街行く知らない女の人にムラムラするところは面白い.

これじゃトリュフォーの『恋愛日記』の煮え切らない版じゃないか,と思って『恋愛日記』を見る.実はこれは俺にとってはこんなに繰り返し見ている映画もないという,トリュフォーの「隠れた傑作」で,女の,特に脚を偏愛する男のお話.主人公が暗いという理由で興行がふるわなかったんじゃないか,と監督自身がどこかで言っていた気がするような作品だけどナタリー・バイイが妙に輝いていたりしてかなり魅力的な映画です.

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『恋愛日記』('77)

やっぱりロメールは最近のがいい,と思い『友達の恋人』を見る(87年のこの作品を「最近」といって言いかは疑問だが).主に1対1の会話が展開するだけの断片的な場面が次々と置き換わっていって,気づくとその断片的なシーンが,妙なグルーヴを生みつつもある一点へと収束していき,加速しつつ不意に終わる,というこれぞロメール.

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『友達の恋人』('87)