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トウキョウソナタ('08)黒沢清

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おもしろいです。笑えます。「東京物語」と「ソナチネ」を連想させる題名だけど、まあテーマが家族というこということくらい?オープニングで窓をそっと開けて雨を覗くシーンに始まりすべてが黒沢清。

会社をクビになってもそれを家族にいえない父親、勝手なことをいい始める子供達、そんな家族の面倒を見る母親、など一見ベタな主題、挿話を完全に面白く仕立て上げ、なんとなくおかしい間(友人の娘)や、わざとらしすぎる設定(失業者の群れ)を盛り込みつつもそれを難なく展開させてゆくあの感じ。

この金融不安の現在、ハローワークの暗~い階段に並んだりするシーンはリアルに怖い。あとあの家族が住む線路際の一軒家。実際にあるんだろうか?室内も、とてもよかった。

小泉今日子がかわいい設定とかじゃないんだけどかなりよかった。正確に覚えてないけど、一度寝転んでるクローズ・アップで最高なカットがあった。黒沢作品に出演する女優は意外と大物が多くて、いつも満を持してキャスティングされている感がある。あの扱いは女優にとっては幸運なことだと思う。ピアノの先生をやる井川遥もきれいだった。

後半、役所広司が異様に存在感のある脇役として出てくる。
小泉今日子と車に乗ってるシーンはよかったなあ。とってつけたようなハッピーエンドもいいです。