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ダークナイト('08)クリストファー・ノーラン

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とんでもなく怖い。近年ではシティ・オブ・ゴッドレベルだろう。ヒース・レジャー演じるジョーカーが怖すぎる。ヒース・レジャー本人がジョーカーにとりつかれたように死んでしまったという現実味もあいまって、怖い怖い。必見。

ダークナイトっていうのは「暗い夜」ではなくて、「暗黒の騎士」というような意味。つまりアンチヒーロー(でいいのか?)のことで、バットマンは法律をかいくぐって悪事を働くやつらを勝手にやっつけてくる、というヒーローですから、時には法を犯します。

そもそもバットマンの背景には、アメリカ特有の超法規的なアウトローを賛美する文化があるとのことです(そういう意味で町山氏いわく、「ダークナイト」はダーティハリーがモデルだといいます)。このアメリカ文化は、一方で、K.K.K.のような自警団というかリンチ集団を善とする文化でもあるので怖さがある。

一見この映画は、バットマンの漫画に社会的な要素を取り入れてリアルにしているようにみえるんだけど、そもそもバットマンは成り立ちから、そういう社会的にリアルで難しい背景をもって生まれたものだったということです。

とはいえ、この設定は映画的に盛り上がるもんです。そこらへんをどうするかのさじ加減が映画的には重要な感性でしょう。・・で、気づきましたが、十二人の怒れる男も映画として最高ですが、理屈としては完全にこれの逆でした(あの十二人でジョーカーを裁いていただくと、すごく後味悪いだろうなあ)。まあ映画ってそういう近視眼的なもんでもありますね。

ところでヒース・レジャーの怪演には来年のアカデミー賞が贈られるでしょうかね。実現したら、1977年以来2人目となる逝去後の受賞となるとのこと。