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南国の誘惑('37独)デトルフ・ジールク

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原題はラ・ハバネラ("La Habanera")という。ビゼーのカルメンの有名な曲(がそういう名前らしいけど)ではなく、劇中で歌われるオリジナルの歌の名前。舞台はプエルト・リコ。ストーリーは割愛。ナチス政権当時のUFA(ウーファ)が製作したメロドラマで、監督のデトルフ・ジールクとはあのダグラス・サークのドイツでの名前である。・・ほとんど注釈になっていないような文だけど、ここらへんは『傷だらけの映画史-ウーファからハリウッドまで-』という文庫本を読んでしまった人なら背景がわかるんだけど、つまりナチスによってドイツを追われて後にアメリカに渡って改名することになる監督が、ドイツ時代に撮っていた映画です。その後ハリウッドでもけっこう映画を撮りました。




この本は「映画史」というくらいなので、かなりお勉強になるんですが、中身はハスミシゲヒコとヤマダコウイチの対談です。80年代に'30-'40年代の映画を集めてビデオ化して発売したときにオマケとしてついてきた冊子がこの本のオリジナル。ということで、30-40年代の固有名詞やら歴史的背景やらがバンバン出てきて、まさについてゆくのがやっと、という本。かなり前に読んでいたのを読み返し、「ついてゆく」つもりでこの映画を見たというわけです。映画を見てから読み返すと、かなり細かい部分の指摘してるなあ、と気が遠くなりますが、それはまあ彼らもビデオで見直した後の対談だから。この本はヒッチコックとかフリッツ・ラングとかもっと有名な監督も出てて楽しいです。

で、映画ですが、最初はかなーりだるいです。でもどうせ楽しくなるんだろう、と思ってみてたけど、70%くらいはだるいまま、あまり乗れず。ラ・ハバネラという歌を主演のゴージャスな女優が歌うところはかなりよくて、でも、あれ?と思ったらサビの旋律がかなりボルベールっぽい。あのペネロペ・クルスが歌いだすところのあの曲に似てるなあ。スペインじゃあよくある旋律なのか?偶然か?偶然じゃないだろう。