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イノセンス('04)押井守

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海外では「攻殻機動隊2」ということを前面に出していた作品。「攻殻機動隊」については俺は何も知らない(いや、正確にはかなり前にabs氏が俺に映画のパンフレットをくれた(貸してくれた?)ことは覚えているが)。ちなみにイノセンスは、筋が難解で最後のほうまでなにやってんだかよく筋をつかめないんだけど、それは「攻殻機動隊」の設定を前提としているから。でも、それは2回見ればすべて説明されていることもよくわかるので、特に問題ではなかった。ヒトの記憶を外部ディスクに外だしすることができて、しかもどうやら他人のものも共有できて、さらにヒトの頭がある程度「電脳化」されているのでクラッキングもできる、という設定がこの作品世界では常識らしい。そんなことがもしできたら、受験戦争とかなくなるよなあ、と誰もが考える妄想を工夫して、面白くしたような感じ。

とはいえこの映画のもっと大きなテーマは人形(人造人間)なんだけど、その露骨にハンス・ベルメールを彷彿とさせる造形や、これまた露骨にブレード・ランナーな感じの香港チックな街や、さらに露骨に外人向けの和風趣味な音楽、ターミネーターみたいな武器など、どこかでみたようなコテコテなイメージに溢れていて、でもとくにそれが魅力的というわけではなくて、そこにはあまり乗れないんだけど、それらを見せてくれるCG技術を駆使した映像には本当に驚くばかり。これに関しては、映画の冒頭から本当にすごい。まあよくもここまで、というくらいにきれいだった。一見の価値あり。

で、あとは人形とか記憶とかのテーマを軸に聖書とか古典とかの引用を登場人物が口にしまくる、いかにもアニメっぽいキザさがあるんだけど、俺はけっこう楽しみました。クライマックスの盛り上がりがいまいちじゃないか、とも思ったけど、あそこは多分「攻殻機動隊」を見ていたらもうちょっと盛り上がれるはずだったんだろうと思うからよくわかんない。