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長江哀歌('06)ジャ・ジャンクー

すごい映画を見た、という確信はないが、すごい映画だったのかもしれないという予感が残る。見た後なのに。

ダムの下に沈み行く街を背景として、ある男と(その男とは縁の無い)ある女が人を探しにやってくるというストーリー。

「男」は炭鉱労働者で一見貧相だが妙な威厳と意外な人望がある愛すべき人物。オープニング、汽笛と水の音のからピンぼけの画面になり、長江(と思われる河)の上をゆく船の乗客たちをキャメラが見回して最終的にその「男」にたどり着いたとき、まさか彼が主役?と思いつつ「そうにちがいない」と思わせる男。

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役者は実際に炭鉱夫らしい。ジャ・ジャンクーのいとこらしい。46才くらい?とおもったけど36才らしい。

「女」はジャ・ジャンクーではおなじみの女優で、どこか郷愁を誘う顔をしていて強い存在感があるチャオ・タオ。彼女は、連絡をくれない旦那に会いに行く暗い女を演じている。この映画ではどっちかというとサブ。

「男」ハン・サンミンはその仕事仲間たちがいい。エンディングの乾杯シーンは必見。必見といえばジャ・ジャンクーはこのダムに沈み行く街をいろいろな角度からフィルムにおさめている。そこには消えゆく街への強い思いを感じる。

「奉節」という、古い歴史を持つらしいこの街は、これから沈む、という段階ではもはやなくて、すでに半分くらい沈んでいて、今も段階的に沈んでゆく途中で、すでに水没は執行されてしまった中でみんなあきらめつつ暮らしているというやりきれなさ。

ライブシーンがあって、なかなかよかった。途中にいきなり酒のビンをフィーチャーして画面に「酒」とか文字が入るのがまったく持って意味不明。ギャグ?あとまあ夢?と思うようなシーンも二つほど。

「ダムに沈む街の悲劇」とか見るの面倒くさいなあというひとも、そんなものでもないので心配せずに見に行ってください。

コメント

あの「酒」とか何だったんだろう。あの熱唱しまくるガキが俺のツボでした。あいつか出て来て煙草をすぱーって吸った時も何か文字が出たよね。

わりぃ、コメントほとんどつかないからチェックしてなかったぜ。

ガキが煙草吸ったところでは普通に「煙草」って出てたな。違う漢字だったけど。

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