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ブーベの恋人('63)ルイジ・コメンチーニ

そういう流れで、クラウディア・カルディナーレの代表作で、ジョージ・チャキリスと共演したイタリア映画を見た。ブーベはチャキリスの名前なので、ブーベの恋人がカルディナーレ。

撮影監督はジョセフ・ロージーの『エヴァの匂い』('62)も撮っているジャンニ・ディ・ヴェナンツォで、このひとは'66年に45才で死んでいるだけど、なんと『8 1/2』の撮影監督だった。そうか、俺は『8 1/2』の撮影監督を知らなかったのか、とわれながら驚きだが、それは俺が最も好きな映画を聞かれたら答えるようにしている映画の一つが『8 1/2』だから。

かつてフェリーニの『8 1/2』でクラウディア・カルディナーレを見てから、見ようと思っていてなんとなく敬遠していたのをやっと見れた感じ。監督のルイジ・コメンチーニは、ちょうど今年の4月に90才で亡くなっている。

さて、『8 1/2』のクラウディア・カルディナーレを女神のごとく崇めていた情報不足の俺は、彼女だって歳をとるということをなんとなくおろそかにしてて、それが先日の『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』でおばあさんの彼女が豪快に笑う御姿を見て、驚き(驚きという点では若尾文子参議院立候補ほどのインパクトはないが)、いよいよ『ブーベの恋人』を借りてきたのだった。

と、ここまでは映画を見なくてもいえることしか言っていないけど、実際に見るとまあまあ。C.C.は目つきがかわいいけど。あとふらふらと走ってばかりいるのもいいんだけど、ラストではチャキリスの車を追って走るとどこかで読んだ記憶があったけど、そんなシーンはなかった。

実は手違いで字幕が見られず、イタリア語だけで見たのであらすじの大筋はわかったもののストーリーの細部は追えてない。台詞は「アモーレ」くらいしかわかんないし。

どうやら田舎で出会ったチャキリスは政治犯みたいな奴で、いろいろコソコソやってるので、それに惚れた田舎娘のカルディナーレは翻弄され、引き離されたのを機に都会に出て働き出すのだが、そこで他の男と出会い、でもそいつとは深い中にはならず、最後は捕まったチャキリスの裁判になって男とも別れる、という流れみたいだった。意外に貞淑キャラ。

都会の男と映画を見に行くシーンがあって、映画はビビアン・リーの『哀愁』なんだけど、その混雑がすごい。席を満員電車の始発駅のような勢いで奪い合う。あと、他の映画をみるシーンでは、ムッソリーニが登場すると一斉にブーイングの口笛をふく、というのもすごい。

カルディナーレ=ディ・ヴェナンツォ=マストロヤンニと『8 1/2』がらみの名前がずるずると出てきた。
この後はロージーの『エヴァの匂い』を見て、そこからジャンヌ・モロー方面に行こうと思う。

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