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グラストンベリー('06英)ジュリアン・テンプル

グラストンベリー音楽フェスティバルの観客を見ていると、イギリス独特のえげつない空気が漂っている。中世的というか。アナーキー・イン・ザ・U.K.って感じ。

グラストンベリーという土地は、もともとイギリスにおけるキリスト教、そしてフォークロアにおける特別な意味がある聖地とされている。グラストンベリーは今や15万人の観衆を集める音楽フェスで、35年もの歴史がある。主催者は現在も続けている酪農農家の息子のマイケル・イーヴィス。
彼とヒッピーくずれのひとたち「トラベラーズ」とのやりとりはこの映画の重要な部分をなしている。このフェスティバル自体、80年代後半を境に大きく色合いを変えてきて、より安全で商業的になってきているらしいんだけど、ここまでできてるのもこの寛容かつ柔軟な主催者の力が大きい。

残念ながらこの映画はグラストンベリーのライヴシーンを満喫するにはそこそこといった程度です。音楽フェスの歴史は大体把握できるけど、70's後半~90's前半のライヴシーンはほとんどなかったのでは?公式サイトから当時の記録を見ると、ヴァン・モリソンはじめけっこういいアーティストが参加してます。映画で見れるなかでよかったのはビョーク、PULPなど。あとは観客が盛り上がってるシーンはやっぱりいい。

観客・・・ドラッグでラリってることを差し引いても、やつらはすげえ。フジロックの観客とは何かが決定的に違う。彼らにはそもそもステージさえ必要としないところがある。またこのフェス、殺伐とした部分も大いにあります。人もけっこう死んでるみたいです。ドラッグでラリって高いところから落ちたりとか。

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イギリス人はあえて困難に立ち向かおうとする。」(マイケル・イーヴィス)