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石の微笑('04仏)クロード・シャブロール

原題はブライズメイド。結婚式の花嫁付添い人のこと。今、これがどんな映画か言いたくない。でも言うけど。

すごく面白かった。シャブロールがサスペンスの巨匠だということをはじめて知った。というか、俺はシャブロルほとんど見た事無かった。

以下ネタバレぎりぎりで進めると、不思議なもので、何日か続けて映画を見てると同じようなテーマがところどころに出てくるもんで、この映画は愛する女の犯行を確信するにいたり、一縷の望みをもって女と対面する男の話、という部分で『ラザロ』と部分的に重なった(問題の『ラザロ』については後日書きますが・・・)。ラスト近くから妙に加速してあわただしく展開していくあの感じ。ヌーヴェル・ヴァーグだなあ。そして、村上龍も言っていたけど悲劇ってのはああいうもんだなあ。ずっとあそこで終焉を待ってたわけだから。

胸像に異様に執着するように変態っぽいところも持つ、なかなか感じのいい主人公はブノワ・マジメル。その恋人役ローラ・スメットはナタリー・バイイの娘ということだ。お母様ほどきれいじゃないけど格段にエロい。

マジメルの妹の結婚式で二人が出会って、やがて激しい雨が降ってきて、その流れで彼女がズブ濡れで主人公のうちに寄る。スメット、いいです。彼女はオーラを出したり消したりすることができるらしい。上の雨のシーン以前のオーラのなさはただ事ではない。完全に端役かと思った。

そして怖い。とにかく断言しかしない。たまにしか笑わない。電話にほとんど出ない。ローラ・スメットの演じる女、ファム・ファタールには違いないけど、悪女じゃなくて、主人公のたぶらかされっぷりもそれほどでもない。そこはなんとも愛らしくていい。

二人で海に行くシーンがよかった。なんと美しいシーンだろう。よくないシーンはほとんどなかった。地下室のある屋敷もいいし、あの階段もいい。オープニングで車からみた風景のように住宅街をうつしてサスペンスっぽくはじまるところもいいなあ。いつも犬連れてる妹と馬鹿っぽい旦那もいいなあ。撮影はエドゥアルド・セラ。

・・あの通行人がクソ踏むシーンはなんだろう。コメディか。なんとベタな。それでいてなんと唐突な。

Demoiselle d'honneur.jpg

木を植え、詩を書き、同性と寝て、誰かを殺すの。」(ローラ・スメット)