I had a dream ⑦
そういうわけで、どちらにしろ先行きは長くないと思ったので、断食を始める事にした。
身体のスピードを速めるのだ。
一生かかってやる事を一週間かそこらで体験してやる。
一日で諦めた。超空腹。無理無理。
腹が減っては戦はできぬ。
次には投薬を始める事にした。
スピードを上げるためならなんだってしてやるぜ。
これもやめた。むしろ意識が混濁しすぎて、身体のスピードは遅くなってしまった。
意識 意識 意識!!
またか!
「体感速度」だけが重要なのだ。
そういうわけで、徹底的に自分を騙す事にする。
痛みが脳に届く前に傷を治癒させる。
これを繰り返す。
この辺で早くも恐慌を来たした俺の身体は、全く正反対なことを模索し始めていたのだったが、俺自身それに気付かなかった。
気付く 気付く 気付く!!
またか!
一元論も二言論も所詮出所は一緒なのだ。
「体感速度」のために、徹底的に時間のスピードを上げる。
つまりこの考え自体が間違っていたのか?
身体のスピードを上げすぎた結果、逆に外部との接点がなくなり、全てが絵空事と化すのだ。
スピードを上げる。止まって見える。 ああ、バカみたいな罠だ。
スピードを上げていたのはむしろ周りなのだ。
「体感速度」という言葉に主語なんてありゃしないのでした。
なんつーくだらなさ。
相対 相対 相対!
またか!!
冷凍睡眠。もしくは浦島効果ってやつか。
それにしてもこのスープは辛い。
一体いつから辛かったんだろうか?
摩り替わったのすら気付かなかった。
滴り落ちる汗が止まって見える。
それくらい俺の身体速度は・・・・むにゃむにゃ。
(つ づ く)