I had a dream ①
全身蛍光イエローのビニールみたいな服に身を包んだオバハンが、ベタベタした足取りでネギがはみ出た買い物袋を下げながら信号無視をして、というか全部無視して道路の真ん中を歩いていた。
バスがノロノロと彼女を避ける。うむ。バスだからな。
でも、世の中バスばっかりじゃないんだぜ、と思ったまさにその時、ほら見たことかってな具合であの忌々しい色をした(多分ダークブルー)クソったれな奴が突っ込んできた。
あああああああ。やばいぞこりゃー。
彼女は、(その普通すぎる顔を見てようやく気付いたのだが)どうやらそいつを無視すらしていなく、至極自然に歩いていたところだった。恐らく彼女にとってはそれが当たり前なのだ。
衝突。
空中にふわりと浮きながら、彼女。
「バカみたいだけど楽勝。バカみたいだけど」。
なんだか、興冷めというか、少し不満だったけど、でもそれはそれで凄い事だと思った僕は、
それを伝えたくて「そうですね!」と叫んだが、どうやらタッチの差で彼女には聞こえなかったようだ。
もったいない。
(つづく)