SBT(SyouBenTrouble ) ~彼岸過ぎまで~
新井薬師の踏み切りは通勤時間帯だとマジで閉じたままなのだ。
わかっていたのに。
プチ渋滞が発生している。対岸のおばはんの顔は怒りに歪んでいる。
俺は小便がしたかった。猛烈に。
昔家の鍵が見つからなくて、ドアの前で漏らした。
あれはあれで気持ち良かったが、なんといっても後が面倒くさい。
だから耐えた。
踏み切り横にある交番の警官達が有り得ねえ。
まったく慣れきった様子で談笑してるんだもの。
俺の尿意をわかってくれ、と言っているわけではない。
俺は本気で踏み切りを跨いであちら側に行きたかった。
もしくは「今僕に限界がおとずれました」といって
放尿してしまいたかった。
この踏切を跨いでしまう奴がいる、ということの可能性をあまりにも御座なりにしているのではないですか? と思ったのだ。
職務怠慢。 放尿。 絶句。
平謝り。対チン構造問題。目も当てられない盥回しの責任転嫁。
そして、俺は今、半分濡れたままのパンツと伴に、
今後の俺と、安藤美姫と、日本と、世界の運命について思いを馳せている。